2013年01月05日

黒木亮著「鉄のあけぼの」を著者の人格で読む!

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半年ほどだった積読(つんどく)だった黒木亮の『鉄のあけぼの(上・下)』をこの年末年始で読了しました。

川崎製鉄(現JFEスチール)の初代社長西山弥太郎の生涯を書き上げた企業ドラマです。

この本を読む前に、たまたま苫米地英人著の『本当に頭がよくなる「速読脳」のつくり方』を読みました。その中でいくつか印象に残った言葉の一つが「本(小説)を著者の人格になりきって読む」です。
つまり、自分の現在持っている知識や視点でその本を理解するのではなく、その本を書いた著者の視点で、著者の知識レベルでそのまま理解するように読むということです。
このことを「著者の人格をつくる読書法」と言っています。

これは簡単なようで、結構難しいことです。
そしてそのように読むためには、以下の2つが必要と言っています。
(1)「著者になりきって読む」
(2)「最低3回は同じ本を読む」

一つめの「著者になりきって読む」は、自分の気持ちや判断は一切捨てて、著者になりきって読むということ。
二つめの「最低3回は同じ本を読む」は、1度本を読んで著者はこういうことを言いたかったのだということ(全体像と主旨)を分かってから、再読して細部や知識を読み、理解もさらに深まるということです。3回目でやっと著者の人格になりきり(近づいて)、自分が書いたかのように読むこととでその本の世界を隅から隅まで感じ取ることが可能になる。
このように苫米地さんは述べています。

今回はまだ1回めですから、この「著者の人格をつくる」までには至っていませんが、黒木亮の著書をすでに
7,8冊読んでいる私としては、著者に言いたいことを少しでも感じられたのかと思う。

表に出ることを避け、日経新聞の私の履歴書執筆も丁寧に断ったこの小説の主人公西山弥太郎の生き方とその経営姿勢をもっと世に知らしめたいと著者はおもったからこそ、この小説を執筆したのかと思う。

第1回目の書評(感想)としていは、西山本人は社訓をつくることを拒んだが、西山の経営姿勢、その精神を継承したかった直属の部下が作成した社訓に表現されていると思う。
また私自身この小説の要旨(伝えたかったこと)はここにあのではないかと感じた。

昭和38年の創立記念日に制定された川崎製鉄の社訓を同書からいかに引用する。

誠実をつらぬき、人から信頼されよう
 人間としていちばん大切なものは、誠実である。どんなことでも真心こめてすれば、まわりの人から信頼される。そして仕事も楽しくなるであろう。
現状に満足せずに、ますます努力しよう
 現状に満足していると、激しい産業界の競争に敗れることになる。より進歩向上しようという心がまえで、たえず努力することが大切である。
創意工夫をこころがけよう
 自分の仕事に熱意を持ち、より合理的な方法をめいめいがくふうし、どんな小さなことでも改善すべきことは、すぐに実行に移したい。これでこそ明日の発展が約束されるのである。
互いにしっかりと協力しよう
 みんなが心をあわせれば、より大きな力が生まれる。この力は、ひとりひとりが自分の職責を果たし、相手の立場を尊重するとともに、協力しあうことによって発揮される。
常に身体の健康に努めよう
 若さと希望を失わず自分が成長するためには、積極的に身体をきたえ健全な精神を育てたい。
産業人としての誇りをもとう
 われわれは鉄のパイオニアである、という誇りをもち、仕事を通じて社会の発展につくしたい


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posted by じんさん at 22:40| 北海道 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | お薦め本・書評など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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