年末年始の課題図書(昨年買った積読〔つんどく〕からまず読む本)3冊の内の1冊目『法服の王国(上・下)』を2年がかり(平成25年12月30日〜平成26年1月2日)で読了しました。
そして、すぐにその訴訟の裁判長村木健吾が、大学法学部を卒業し新聞販売店でアルバイトをしながら司法試験の勉強をしていた41年前に戻る。その同じ販売店で、当時は法曹界を目指そうと思ってもいなかった差し止め訴訟の原告団弁護士妹尾猛史が働いていた。この3人が主人公としてストーリィは進んでいく。
素直な感想は、小説の中とはいえ裁判官の仕事と言うか人生を初めて知った。
しかも大半の事件は、現実の裁判の出来事(長沼ナイキ基地訴訟〔自衛隊違憲判決〕や秩父じん肺訴訟〔公害訴訟の救済〕等)と共に進行しているので、司法の世界(裁判所)の変化と共にリアリティを持って感じられた。
私自身は、裁判所の事務官の研修は担当したことはある。弁護士の知人はいるが、裁判官の知人・友人はいない。裁判官の知り合いがいたら是非感想を聞きたいものだ。とりあえずは弁護士の友人に読んでもらって感想を訊くことにしよう。
作者黒木亮の小説は、事実とフィクションが入り混じった作風なので、まったく知らないプロジェクトファイナンスの小説〔『トップレフト』、『巨大投資銀行』など〕は、かなり読み進めるのも大変だった。
今回の『法服の王国』は裁判シーンでのやり取りは詳細を極め、結構理解が大変だが、ストーリイは面白く読み進めることができた。昨年の正月に読んだ『鉄のあけぼの』と共に黒木亮の最近刊では、お進めの2冊です。
初期の頃の作品は、自分自身の体験をベースにしたと思われるものが多かったが、近年はその優れた取材力と理解・構想力により面白く考えさせられる近代又は現代歴史小説といえるのではないか。
以下は昨年読んだ「鉄のあけぼの」のブログ記事
黒木亮『鉄のあけぼの』を著者の人格で読む
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