
平成28年(2016年)となりました。
今年最初のブログは、昨年からの「組織における『相談力』について考える」のテーマ2回目。
今回は、私自身の仕事としての「相談」についての経験をふり返ることとする。
前回述べたように、私自身の仕事は「マネジメントを中心とした企業研修トレーナー」で、独立して会社を設立してから17年。この4月から18年目に入る。
会社を始めた頃は、いろいろなご縁で、研修トレーナー以外のできる仕事は何でもトライしました。
その一つが「キャリアカウンセラー」(後には、キャリアコンサルタント)だった。
東京時代の知人の社会保険労務士からの紹介で、まだマンションの一室の事務所に、アウトプレースメントのコンサルティング会社の社長が訪ねてきた。
「就職支援相談のできる人は知らないか」、というのが用件だった。私自身はその経験がなかったので、すぐに心当たりもなかった。
「所で、あなたは何をしているの?」と訊かれて、社員研修トレーナーだと話すと、「それじゃ、きっとできるよ」ということになり、東京へキャリアカウンセリングの研修のオブザーブへ行き、その3か月後には「キャリアカウンセラー」を始めていた。
当時、会社都合のリストラで、辞める際に退職金の増額だけではなく「アウトプレースメント」や「就職支援サービス」のコンサルティングが増えていた。
その社長の会社が請け負った仕事で、生命保険会社、建機製造販売会社、アパレル関係の会社等4、5社の会社都合での退職者(本人了解)の就職支援を延べ10数名担当した。
その後、その会社ご縁で、資格取得の学校〔株式会社)で「キャリアコンサルタント養成講座」の講師を務め、さらに大学生の就職相談等も担当することになった。
その他、札幌市の業務委託の就職支援相談で、名前だけしか事前情報がなく、1時間就職に関する相談を受けりと言う仕事もあった。
一番印象に残っている相談は、工学系大学4年生の相談、時期は8月。ほとんどの学生が内定をもらっていた。
〔私〕「どのような相談ですか?」
〔学生〕「実は今の学科に入ったのが間違いであったかと思っていて、大学(学部)を入り直そうかと思っています。どうしたらいででしょうか」
というものでした。
これまで、たいして、就職活動も熱を入れてしていなかったようでした。
〔私〕「そうですか」(と言いながら、内心は何だ就職相談ではなく、進路相談か?とかなり動揺していた)
〔私〕「卒業することは可能なのですか?」
〔学生〕「単位はまだ残していますが、とることは可能です。・・・」
この時は、彼に、今後考えられる選択肢を質問して、考えてもらった。確か、4つくらい上がった。
1)大学をやめて入り直す(最初の相談で言ってきたまま)
2)残された単位を取得してまずは、卒業する(就職浪人、フリーターでもいい)
3)今から就職活動に本腰を入れ、何としてでも就職を決める(当然、卒業を目指す)
4)あえて留年して、来年に再度就職活動を行う
さらに、上記の1)2)3)4)について、自分で考えてから、親に相談する
その4つを横に並べて、それぞれのメリットデメリットも本人に質問して考えてもらった。
だんだん、真剣になってきた感じがあった。
この1時間の相談では、結論が出なかったが、本人としては、今後どうすればいいかの選択肢を明確にして、さらに選択するための根拠・理由も考えることができた。
彼自身の最後の言葉が今でも記憶に残っている。
「物事ってこういうようにして考えるものなのですね。初めて知りました」
残念ながら、この就職相談も週に1回で希望者があればということで、その彼との相談は、これ1回きりで終わった。
この経験は、相談を受ける人(キャリアカウンセラー)が結論を出すのではなく、相談者(相談をしてきた人)が自ら考えて、本人自身が納得する答えを見出すこと。
この経験は、その後キャリアカウンセラーと並行して学んだ「コーチング」に結びついて行った。
