Hot Pepperを毎月手にしている人は多いだろう。
しかし、この事業がどれ位の規模の事業だか知る人は少ないだろう。
ローカル(都会もあるが)エリアの小さな飲食店情報をまとめたカタログのような雑誌が、どうして500億規模の巨大事業にまで成長できたのか?
あのクーポンマガジンHot Pepperがいかにして、どの街にもあったタウン情報誌を凌駕したのか?
7年間で36億円の累積赤字を抱えた前身の事業がこれまで変身(というより新生)できたのはなぜか?
1500名の組織の内85%が非正社員(※契約社員、業務委託、バイト)という雇用形態で、なぜ高いモチベーションで事業が動くのか?
等々…まさに、本書のタイトルどおり、多くのミラクルな質問が芽生えるビジネスストーリーなのだ!
※契約社員(ホットペッパーのCV職についてはこちら、「ホットペッパー」のかまい方と育成法)
その答え(しかも実践の結果)がこの書の中にある。
この現実となったミラクル・ストーリーの事業リーダー平尾勇司さんが書いた。
企業における人材育成とマネジメント力、組織力向上の指導支援・サポートを仕事としている私にとっても、たくさんのヒントや回答を発見した書である。
日頃から私が考えていることと近く、その通りと同意でき、非常に共感する部分もあるし、ああそうだったなあ、とあらためて再認識したことも多い。
そして、考えが深まった点はさらに多い。
その項目を列挙する。
1)『マネジメントとは、「最小の努力で最大の成果を出す仕組みをつくって、最大の努力を要望すること』
…このフレーズは、私が最近マネジメントを一言であらわす「目的の実現(目標達成)のために何とかすること」よりも非常に具体的なイメージが持てる。
2)『戦略の大切さは理解されても、それを組織に伝えることに手間隙がかけられることはほとんどない』
…戦略をつくることに精力を注ぎ、そのためにコストをかける企画部門や戦略コンサルタント〜に私はなろうとは思はない(今から目指してもなれないけれど)。
3)『「共通のモノサシを発見して共有化すること」「自己革新は共視点の共有によって生まれる」逆に言えば、「組織の問題は視点を共有化していないから解決しない」』
…多様な視点は、解決策を選ぶために複数案を作るためには必要だ。しかし、視点の共有化、具体的に言えば組織として、チームとしての真の問題は何か、組織として(チームとして)何にを目標にするかの視点は共有化されないと前に進まない。【全く同意】
4)『森を見て、木を見て、枝を知って戦術をつくる』
…戦略シナリオと実際のそれを現場で行う戦術は同じレベルで考えてつくっても機能しない。【ほとんど同意】
5)『一人ひとりの成果・戦果・成功を皆で学び、チームとして勝つ〜これが学習する組織、この学びが組織で共有化される。そこに喜びがある』
…この10年前後騒がれた「成果主義」は何だったのか?会社(組織)で仕事をすることの中の『成果』を本当に考えていなかったのだろうか?「差」をつけることは組織の成果となんら関係がない。
その他にも『バードビュー』、『一人屋台方式』、『プチコン』様々なマネジメントと営業の技(型)がある。
最後近くで、彼は、「リーダーは物語を語る人」と述べている。
彼自身の表現とは違うが、私には、現実のビジネスストーリーのシナリオを書き、配役を決め、演出し、考えさせ演技(実行)させる監督のように思えてきた。
この実例から、小なりといえども私自身の会社の事業戦略と経営に学び即実践することは多い。
この書を手にする読者の皆さんも、きっとたくさんのヒントを得るだろう。
参照ブログ
【超・仕組み系】「Hot Pepperミラクル・ストーリー」平尾 勇司
「Makeup Life! メイクアップ・ライフ」
2008年06月02日
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読書メモ:Hot Pepper ミラクルストーリー(平尾勇司)
Excerpt: 街で当たり前のようにみることになったクーポン・マガジン「Hot Pepper」。その責任者が何を考えて創刊し、何をして成功を収めたかを語る一冊。成功する組織、戦略、戦術、人事とはこういうものだ、と教え..
Weblog: なせばなる。。。
Tracked: 2008-09-25 22:49